追跡取材班が向かったのは、鹿児島県指宿市。世界が注目する“ある巨大施設”があります。
それは“世界唯一”というリゾート滞在型がん治療施設。身近になりつつある、体に優しいがん治療の最前線を追跡しました。
■「外科手術」「抗がん剤」に次ぐ…“第三のがん治療”
鹿児島県指宿市にある「メディポリス国際陽子線治療センター」。2011年、最新の放射線治療、陽子線を使ったがん治療を開始。治療実績件数は、5500件を超えるといいます。
ここで、患者に対し陽子線を360度どこからでも照射することができるといいます。陽子線治療は「外科手術」「抗がん剤」に次ぐ、第三のがん治療である「放射線」の一つです。
X線治療の場合、体内を通過する性質があるため、周辺の正常な細胞にもダメージが。一方、「陽子線」は、想定した位置でビームが止まるため、ピンポイントで狙い撃ちでき、体への負担が軽くなるといいます。
放射線技師・和田清隆さん:「陽子線のビームは、止まる性質があるので、体の中でがんをやっつける」
実は、この治療室の裏側には、ある巨大な装置があります。
和田さん:「普通の治療室に見えるかもしれないが、この裏側に大きな機械が」
そこにあったのは…。
和田さん:「これは、回転ガントリー」
治療では、陽子線を直径7メートルのドーナツ状の加速器で、1秒間で地球をおよそ4周するスピードにまで加速させます。
その後、巨大な回転ガントリーが陽子線の進む方向を変えることで、患者のがん細胞に360度、どの角度からでも照射することができるのです。
この日、前立腺がんの治療を受ける74歳の男性。治療中は、体が動かないように固定器具を装着します。
治療は原則1日1回。照射時間はわずか2分ほど、あっという間にこの日の治療が終わりました。
さらに、この病院では「呼吸同期照射」という技術をいち早く取り入れています。
肺がんや肝臓がんなどの腫瘍は、息を吸ったり、吐いたりするたびに位置が変わります。その動きをレーザーで感知し、ピンポイントでビームを照射するのです。
実際に、陽子線で前立腺がんの治療を受けている77歳の男性は、次のように話します。
男性:「(他の治療法と比べて)体に負担がかからない。精神的にも(以前よりも)経済的にも負担が少ない」
あくまで指標ですが、前立腺がんの陽子線治療で、5年間、再発しない確率は、5つに分かれる病状リスクのうち、中リスク以下の場合95%以上だといいます。
■治療は約1時間…合間にレジャー・観光を楽しむ
治療にかかる時間は1時間ほど。患者がそれ以外の時間を過ごすのは、いわゆる入院病棟ではなく、隣接する患者専用ホテルです。
HOTELフリージア バレラみどりさん:「患者に『(病院から)歩いて50歩です』と話している」
そこはまるで、高級リゾートホテルのような雰囲気です。スタンダードタイプの部屋には、ベッドが2つと、くつろげるスペースもあります。
バレラさん:「(Q.1泊はどれくらい?)通常は、6800円(※日数が長くなるほど1泊当たりは安くなります)」
しかも、朝食付き。昼食や夕食を付けることも可能で、1食1000円。3食つけても8800円です。
治療の合間に、温泉も楽しめます。
その他、もっと優雅に過ごしたいという人には、個室に露天風呂もある一般客も泊まれる高級リゾート型ホテルも併設されています。
実は、客室係のバレラさんは…。
バレラさん:「私も、がんだったので車いすの暮らしをしていました。私の夫も、がんで亡くなった。寄り添う家族の気持ちも分かるし、病気になった本人の気持ちも分かる」
このホテルに宿泊中の78歳の男性。宮崎県から前立腺がんの治療に。
前立腺がんの場合、およそ1カ月の治療が必要なため、患者の多くが、このホテルに宿泊するそうです。
男性:「病院は暗いじゃないですか。だけど、ここでがんの治療をしてるなんて思ってない」
治療にかかる時間は、1日1時間ほどです。
男性:「あしたの朝まで、何もないから。せっかく休みだから、ハーフバッグを」
レジャーや観光を楽しみながらがんの治療をする、まさにリゾート滞在型。医師によると、約1か月、21回の照射をしたところ、この男性の「がん細胞は死滅」。しかし、「再発のリスクはゼロではないため、数年の経過観察が必要だ」といいます。
宿泊代は、およそ19万円。そして、気になる治療費は、高額療養費制度適用で3万円だといいます。
男性:「庶民の人が治療を受けさせてもらえるようになった」
これまで、およそ300万円という治療費がネックにもなっていた陽子線治療。実は、公的医療保険適用になる対象が、次第に拡大されています。
5年前から前立腺がんなどは対象でしたが、去年4月には大きな肝臓がん・膵臓(すいぞう)がん、手術後に再発した大腸がんなどが新たに保険適用になりました。
高額療養費制度を利用することで、年齢や年収により、この病院の場合1カ月の負担を、2万円から27万円に抑えることができるのです。
その他、保険適用外でも民間の医療保険で、先進医療特約を付けていれば、先進医認定の肺がんや肝がんなどの治療費が保障されます。(※保険料、補償内容は保険契約によって異なります)
■年間約5000人が治療…メリット・デメリットも
現在、陽子線を使った治療施設は全国に19カ所。その有効性について専門家は、次のように話します。
国立がん研究センター東病院 秋元哲夫放射線科長:「(陽子線治療が)導入されてから10年20年経つにつれて、有効性が分かりつつあって」
そして、大きなメリットとして…。
秋元放射線科長:「手術や抗がん剤治療は、高齢患者には十分にできないケースもある。特に75歳を超えた患者には、合併症などの(リスクがある)」
一方、「すべてのがんに対して有効ではない」といいます。
メディポリス国際陽子線治療センター・荻野庚尚センター長:「胃、小腸、大腸などの消化管のがんの場合、胃や小腸は壁が非常に薄いので、治すだけの陽子線を当てると、胃や腸も破れてしまう」
また、進行や転移が進んだ場合や…。
荻野センター長:「あと(腸や大腸など)不規則な動きをする臓器に対しては、追従できない」
陽子線治療の主なメリットは「体の負担が少ない」「治療の痛みがなく短時間」。一方デメリットは「すべてのがんに適応できない」「保険適用外だと高額に」なることなどです。
がん治療の選択肢の一つ、陽子線治療。現在、年間およそ5000人が治療を受けています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
25 comments
これってインベスターZにのってたやつ?
未だ人類はガンを確実に治せないのか
俺ももし発癌すれば、このような所に行きたい
従来の手術だけするよりかは生存率は高いだろ
ヒットマンシリーズに出てくる北海道ステージみたいだな…
一度受けてみたいな
温泉に入ってがん治療が出来る、鹿児島県指宿市は随分と恵まれているんですね
治療目的で来日する中国人が増えて日本人が利用できなくなったりして。
外国人が国民健康保険制度の悪用して高額治療をタダ乗りするのを見抜くのは難しいようだ。
素晴らしい!
日本の高福祉高水準高ホスピタリティの医療は世界でも人気が高い
是非保険適用外にして海外から患者を誘致して欲しい
間違っても保険適用にすると社会保障費は我々日本国民が負担している事をお忘れなきよう
高級ツーリズムで外人相手にぼったくるべきところを医療保険適用して税金でとは、
本当にどうかしてる。
X線、重粒子線、陽子線、色々ありますね!
主人が7年前にこちらの最高の治療を受けましたが
一旦消えたガンは1ヶ月後に再発して亡くなりました。
環境はとても良かったですよ。
こんなことしてっから若者の税負担が増えて少子化が進むんだよ。
元グリーンピア指宿ですね
海外の方は自費でやってくださるんでしょうか?
私は、今後中性子治療を期待しています。小さな施設で地検が増えれば良い。
陽子線治療のデメリットをカバー出来る。今は高額ですが。。。
そこまでして生きてどうするジジイ達
金持ちだけが治療を受けられる時代になった。
医学界
千島学説
よみがえれ
マッチポンプな
医療殺戮
誰にでも受けられるのでしょうか?
どうゆう人は駄目てあるのですか
亡くなった有名女優も定期的にこちらに訪れていたとさる筋から聞いたことがあります。
頑張ってほしいですね。
77歳って。。
これ現役世代が負担してるんでしょ
やっとこういう施設ができたかぁー(´▽`*)
心を支える環境て本当に大事。
アニマル・セラピーもあると尚良いでしょうね。
公的医療保険適用は反対です。現役世代の負担増につながるだけです。高齢者ではなく子どもに税金使って下さい。