話し手: FIFTYS PROJECT代表 能條桃子氏
聞き手: 柴田優呼 @ アカデミック・ジャーナリズム
今後4年で地方選が一巡する間に、20~30代の女性の地方議員を3割にすることを目指すFIFTYS PROJECT代表、能條桃子氏。政治分野のジェンダー不平等解消が目的。今回の統一地方選では、12都道府県から立候補者28人を送り出す。アメリカでAOCを生んだ団体が参考。政党ではなく、NPO主導の新しい選挙の形。
候補者のトレーニング講座や、ボランティアとのマッチングを提供。候補者がボランティア230人に直接、街宣やポスティング作業を募集。各地で孤立しがちな候補者同士もつなげる。政党内だと、若い女性候補に票を取られる、と高齢男性候補が脅威に感じ、対応不十分な所を支援。
実力で選ぶと男性が候補になる、との主張は疑問だと能條氏。24時間働けて男性社会の中でうまくやれるということなら男性がうまくいく。男性中心社会で生き残れて一部の人のことしか考えない政治だからそうなる。でも何が本当に能力が発揮されている状態か。政治家として必要な能力や資質とは何なのか。
日本の女性議員の少なさは異様。25年勤続した女性の衆院議員はわずか1%と福島瑞穂氏。残り99%が男性。海外のパリテ導入の理由の一つが女性票の獲得。選挙に勝つため政治を牛耳っていた男性が動いた。日本でなぜそれが起きないのか。なぜ女性有権者は女性議員を求めないのか。
* 福島瑞穂氏のツイート:
25年の永年表彰を受けます。参議院は82人後6人が女性で私は7人目です。7%。衆議院は451人のうち女性は5人。1.1%です。あまりに女性が少ないです。 pic.twitter.com/SiTGt8yJM8
— 福島みずほ 参議院議員 社民党党首 (@mizuhofukushima) February 5, 2023
日本は他国より性別役割分業の観念が強い、と能條氏。それに今の女性議員は男性に選ばれた、男性セレクションの人。男性議員と一緒にやっていける女性であり、必ずしも女性の意見を代弁できる女性議員ではない。派手な色のスーツを着ていたり、女性の自分が生きている中で身近に感じる存在ではない。
実は、著書『自民党の女性認識』について会見した安藤優子氏にも、同じ質問。なぜ日本の女性有権者は女性議員を求めないのか。女性の中に分断があると安藤氏。家庭内で無償で働くのが当然とされ懸命にやってきた自分。でも決して脚光を浴びない。政界や企業でバリバリ働く女性への嫉妬や反感がある。
必見。女性の分断について語る安藤優子氏。男性中心社会の問題を語る時、見過ごされがちだけど、私もこれが本丸ではないか、と思ってきた。多くの女性にとって、とても実感のある話だと思う。54:55~1:04:56
* 安藤優子氏の日本記者クラブ会見
https://www.youtube.com/watch?v=ARMg0YKEZn0
人生の後半になり分断線を越えるのは難しい女性もいる。でも政治も一緒に意識改革をしていかなければならないと安藤氏。女性の分断解消に女性が努力するのではなく、男性も努力を。隣の誰かも選挙に出たというようになれば分断は無意味に。24時間飲み会をするようなことはやめ実質とイメージの改革を。
なぜ女性有権者は女性議員を求めないのか。能條氏は24歳の現在から自分の感じる違和感を率直に語る。安藤氏は研究で見てきた保守層の世界、リベラル層があまり焦点を当てない世界を見据えて語る。でも解決策は一致。今の24時間奉公的で、特殊な人だけ参入できる政治を変える。選挙で、また意識改革で。
【今日の話題】
1、FIFTYS PROJECTが必要だと思った背景
2、現時点での成果
・今からでも何かしたい人はどうすれば?
3、今後の課題
・FIFTYS PROJECT自体
・さらに広い視野に立つと、何が必要?
▼ 今日の話題 1:38
▼ 1946年初当選した女性衆院議員は37人、2021年になっても45人で同規模 2:07
▼ その結果、女性の政策課題が何十年も放置 3:16
▼ 森元首相の蔑視発言で署名活動、男女平等意識が世代で違う 4:51
▼ 地方議会に女性議員が増えないと、女性の国会議員も首長も首相も出ない 6:28
▼ 全地方選が一巡する4年以内に、20代30代の女性議員3割を目指す 8:09
▼ 統一地方選に、12都道府県から28人立候補 10:14
▼ 選挙ボランティアを増やし、将来その中から立候補者が出てこないか期待 12:10
▼ 今回の立候補者は、保育士や看護師、教師、会社員も 13:03
▼ ボランティア20人の協力で、note で候補者を紹介 13:36
▼ ボランティアは今230人、今後トレーニングイベント開催 15:56
▼ まとめサイトで、候補者が選挙ボランティアを直接募集 18:21
▼ 講師を呼んで勉強会をするなど、手が回らないところを支援 21:55
▼ 本来政党がする支援、でも若い女性候補はライバル視され、難しいことも 23:43
▼ 候補者のトレーニング講座、ボランティアのマッチングなど、AOCなどの支援団体が参考 24:58
▼ 候補者を擁立するのは政党だけではない、他の国ではNGOやNPOも 25:37
▼ 候補者の半数は無所属、ほかは立憲、国民、生活者ネットワーク、共産党 26:19
▼ 政党と結ぶというより、ジェンダー平等で一致する候補者を支援 27:26
▼ 共産党や生活者は候補者の支援組織があるが、他は地方支部の状況による 27:46
▼ 選対や後援会作りは各自で、選挙のやり方は当選後の活動にも影響 30:50
▼ 立候補を考える人は『市民派議員になるための本』が役立つ 33:45
▼ 今井るる氏の、立憲から自民移籍について 35:28
▼ 落選者への支援のあり方を見直さないと、今後も続く 37:42
▼ 自民党は今、地方議会で別姓の意見書採択に反対、私たちはジェンダー平等推進で合意しているので、反対の活動をしたら支援リストから外す 38:49
▼ 立候補者には世襲の人も1人いるが、ジェンダー平等を一緒に目指す 41:12
▼ 女性有権者は、なぜ女性議員を求めないのか 43:36
▼ 能力で選んだら候補者が男性になった、という言い方をどう思うか 49:35
▼ 死票が多く、多様な声を反映しない小選挙区制ではなく、比例制に近づけるべき 51:07
▼ FIFTYS PROJECTを続けていくため必要なこと 53:06
[FIFTYS PROJECTについて]
▼ FIFTYS PROJECT ホームページ
https://fiftysproject.com/
▼「一緒に応援しよう ! 候補者ボランティア募集まとめ」
https://fiftysproject-join.blogspot.com/
▼ 神奈川新聞 / 統一選出馬予定の女性19人紹介「推し候補者見つけて」(2023年2月2日)
https://www.kanaloco.jp/news/government/electiondata/article-966384.html
▼ ハフポスト / 「みんなで優しい社会を作ろうとしている人が、本当にいるんだ」統一地方選への立候補を決めた19人の女性の訴えに共鳴する声 (2023年1月31日)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_63d77cc5e4b07c0c7e047039
▼ 東京新聞 / FIFTYS PROJECTが初交流会「当事者の声届ける」統一地方選で20代30代女性議員増加狙う (2023年1月29日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/228134
[能條桃子氏の記事]
▼ タウンニュース / 平塚出身能條さん 社会変える「風」は地域から 若者の政治参加促し活動 (2023年2月9日)
https://www.townnews.co.jp/0605/2023/02/09/664087.html
▼ ハフポスト / 森喜朗氏の女性蔑視発言から2年。モヤモヤに向き合ったら、仲間がいた。「社会変わるかも」という希望を現実に (2023年2月3日)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_63dc6844e4b01a4363937ed6
▼ Cosmopolitan / 意思決定の場に多様性を!ジェンダー平等な政治のために必要なこと (2023年1月28日)
https://www.cosmopolitan.com/jp/trends/politics/a42564498/fiftys-project/
▼ 文春オンライン / “世界の新しいリーダー100人”選出の能條桃子さんが訴える「地域の困りごとを聞く若手議員」の必要性 (2022年11月2日)
https://bunshun.jp/articles/-/58505
▼ 朝日新聞 / 「安定重視」?の内閣改造、私たちの「安定」じゃない 能條桃子さん (2022年8月10日)
https://www.asahi.com/articles/ASQ8B6KBDQ8BUTIL01S.html
#ジェンダー平等 #統一地方選 #選挙