旬のサバやブリが水揚げされる高知県室戸市では、移住若手漁師が“大量”にデビュー。そこには、“不規則”で“不安定”という負のイメージを払拭した、「サラリーマン漁師」という働き方がありました。
しけなどで水揚げがゼロでも、固定給とボーナスが確実。さらに、有休や手厚い手当もあります。
高齢化や担い手不足が深刻な日本の漁師の世界を救う一手となるのか?“新しい働き方”を追跡しました。
■熱意伝え…女性初「サラリーマン漁師」に
舞台は、高知県室戸市。「ユネスコ世界ジオパーク」に登録されている、自然豊かな町です。
土佐湾と太平洋に囲まれた漁場。旬のサバやブリなどが水揚げされる、この漁師町では今、漁師の「新しい働き方」が注目を集めています。
漁師:「昔は組合員やったけど、今は(全員)会社員」「給料はカッチリしとるし」「福利厚生もしっかりしとるし、会社員と一緒。生活面は、安定できるわな」
20人の漁師が所属する、三津大敷株式会社。去年、「組合」から「会社」に変わり、漁師は全員が“社員”として雇用されている「サラリーマン漁師」です。
勤務時間は、きっちりタイムカードで管理。天候などに左右されず、毎日決まった時間に出社します。
午前6時15分、出港。美しい朝焼けを眺めながら、きょうの漁場へ“通勤”します。
岩田梅佳さん(23):「(Q.朝日すごくキレイなんですね)そうですか?私、興味ないんで別に…ハハハハ。きょうは、どんな魚がいてるかなぐらいで」
絶景よりも、魚に興味アリの岩田さん。3年前、和歌山県から移住した、女性初の「サラリーマン漁師」です。
岩田さん:「(船酔い大丈夫?)私は(最初から)全然ないです」
漁の手法は、大型定置網漁。魚の回遊するポイントに、あらかじめ仕掛けていた網を引き揚げ、そこに掛かっていた魚を大きなタモですくい上げていきます。
網上げには、機械も導入されているとはいえ、かなりの重労働ですが…。
岩田さん:「海の上で仕事をして…というカッコ良さ。海と魚に触れられる仕事で、最初に思い付いた漁師になろうと」
当初、採用は男性限定だったものの、この会社に何度も熱意を伝え、受け入れてもらったといいます。
三津大敷 漁労部長 山本幸生さん(66):「『あの子は、すぐ辞めるだろう』というのが普通の考え。頑張っています、あんな華奢(きゃしゃ)なのに」
■水揚げゼロでも…「給料とボーナス」保証
およそ1時間の漁を終えると、港へ戻り、種類や大きさで魚を選別します。
漁で使う道具の整備などをして、午後3時前には、すべての仕事が終わります。
岩田さん:「どかすか獲れない日もあったり、獲れた日もあったり。ホンマに、日によって色々」
山本さん:「ダメです。ホンマに量がないわー」「(Q.赤字?)赤字、赤字」
水揚げ量が少ないことや、海が荒れ漁に出られない日も避けられないのが、漁師の宿命。でも…。
山本さん:「固定給とボーナスが確実にある。水揚げ関係なくて、それが一番の違い」
たとえ水揚げがゼロでも、給料が保証されているのが「サラリーマン漁師」のメリットです。
三津大敷は去年、全国展開する水産会社に加盟しました。そこから、資金や設備の援助を受けることで、より効率的な漁が可能になったのだといいます。
岩田さんは、週6日勤務で、基本給23万円。他に食事手当1万2000円、住宅手当など、合わせて月26万7000円。年に2回ボーナスもあり、収入面での不満はないといいます。
岩田さん:「すべてと言っていいくらいのお給料が…」
余暇の過ごし方は、大好きなアイドルのライブを見ることです。
岩田さん:「大阪とかまで有給をもらって行く」「(Q.有給がある?)サラリーマン漁師です」
有給のほか、年末年始やゴールデンウィーク、お盆などが休み。休日出勤をした場合の手当も支給されます。
■給料に驚き「こんだけもらっても…」
その待遇や休日などの安定に魅力を感じ、「サラリーマン漁師」に転職した人もいました。
河野清隆さん(32)は、5歳の息子と3歳の娘の2児のパパ。6年前まで、食品工場で製造を担当していました。
河野さん:「最初、『こんだけもらっても、いいものか』ビックリした」「(Q.以前より、お給料良くなった?)もう、はるかに」
去年、副船長に抜擢(ばってき)された河野さん。頑張れば評価され、昇給もある環境にやりがいを感じているといいます。
2年前、念願だった5LDKのマイホームも建てました。
午後3時には仕事が終わるため、子どもと過ごせる時間が増えたことが、何よりの幸せだとか…。
「共働き」の妻を助けるうちに、料理の腕もみるみる上達しました。
妻・愛さん:「私より上手。すごく助かっています。ほとんどやってもらってばっかり。お迎えもご飯も」
■漁師の確保…行政もバックアップ
室戸市では漁師の後継者不足を解消しようと、今では4つの定置網漁の漁業者が「サラリーマン漁師」制度を導入しています。
去年兵庫県から移住 藤田美優さん(21):「雰囲気は良いです。優しい人が多くて。思っていた以上に働きやすい」
ベテラン漁師:「だいたい女性やったら、こういう仕事はかっぱで長靴…イヤやろ?若い子やったらオシャレもしたいし、本人は好きなんがよね、この子は」
藤田さん:「全然、肌とか気にしな~い」
過去4年で、30人以上が県外から移住してきました。
ベテラン漁師:「(漁業を)絶やさんために、県外から来た人でも受け継いでもらえたら。世代交代。今から先、若い子の力じゃないと」
漁師の確保を行政もバックアップ。室戸市では、移住を検討する人が、家財道具がそろった施設を格安で利用することができます。
室戸市移住促進室:「急に漁師になるより、研修制度をはさんで自分に合うか見極められる時間がある。移住してくる人も、ストレスなく室戸に来れるのでは…」
■“海の男”憧れ…県外の若者が研修に
この日も、県外から研修に訪れた若者がいました。
奈良県に住む寺島悠さん(18)。テレビで見た“海の男”に憧れ、3カ月前に続き、2度目の研修なのですが、この日は、あいにくの雨で海も荒れ模様。寺島さん、大丈夫でしょうか?
意外な大漁に、沸き立つ船上!
漁師:「引いてくれ」
先輩たちの足を引っ張らないよう、必死に食らいつきます。
およそ1時間、悪天候と闘いながらも水揚げは上々。先輩たちは、「船酔いしなかっただけで立派」と評価していました。
山本さん:「最近の若い子は、しっかりしている。受け答えも何も。なかなか良い子と思います」
寺島さん:「立ち姿とか、かっこいいなって。まだまだですけど、頑張っていきたいと思います」
寺島さんは来月、サラリーマン漁師としてデビューすることに決めました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
45 comments
もっと自由に働きたい
サバはそっちに逃げとるんか通りで釣れん訳だ。
無駄に魚を捕るな。
どーせ大半を捨てるのに
でも逆に大漁でも給料全く変わらないんでしょ?
河野さん元々優秀な方なんだろうね。幸せそうで良いのう。
ロマンがありそう
サラリーマンだとその業界へ行きやすくなるよな。
俺は持ち家ローン有るんで毎月30以上手取り貰わないと生活できないなぁ。
けど、漁師良いなぁ〜 。海好きなんで。
これを長く成り立たせるには安定した漁獲と商品の適正価格維持が肝な気がする
収入は安定するだろうけど、漁師としての面白さは半分以下だろうな…
第一次産業のサラリーマン化(この言い方ももどうかと思うが)は学生時代にソ連のソホーズとかコルホーズを習ったときに考えてたなあ。
漁師はきついぞ。ワイはこうみえても屈強な男なのだが、この前船に乗ってタイラバという釣りをしに行ったのですが、波が80cmでも向かってくる波に逆らって進むだけでかなり揺れるし立っていられないほどだった。
あれ以上の波のなか海の上で何時間もいるなんて、命がいくつあっても足りない。まじで大変な仕事だと思う。
週休1日で基本給23万円の仕事
それで良くなったと言われる業界ってある意味凄いな。
ワイすぐ船酔いしてゲロるし魚は殆ど食べれないし絶対向いてないわ。
水族館で見る分には好きなんだがなあ…
頭悪くなって犯罪を犯すようになるよ
2分57秒
他人のタイムカードも押す仕草に見えちゃった(笑
週6勤か。週5勤でさえきついのに。しかも朝早く。凄いの一言に尽きる。
岸田さん、見てますか…?
あなたの「聞くべき意見」はこういう所にある。へたな外国人実習生の必要性がどこにあるの。
高知県の沖合に福島原発の放射能水を投棄しろよ
ノルウェーは高給だったが日本じゃ無理か
釣り船で酔うから漁師に向かない
しんどい仕事をフォローしてくれてた年寄りがいなくなってからが勝負かな。船を操縦出来る人もいるしな。赤字でも貰えるやんとか緩くなってきたら危ないな。まあ食品工場の製造とか他の工場系が安すぎるんだわ。
朝早い仕事は自分には無理だったからすごいなーって思う。
偉いですねその女子👍👍
自営から正社員にしただけで就業者増えるんだな
社会保険料を自分で払うか会社が50%負担するかの違いで手取りは同じだろうに
日本人は「正社員」ってワードに弱すぎる
南海トラフ来たらオワリヤで…
まあ南海トラフで壊滅的になるだろなー
時代が変われば、当然雇用も変わりますよ。
農業でも同じように出来そう。
大関 朝潮つうか 大ちゃんの出身地だね。
一次産業をもっと補助してほしいね。
なるほど。こうして人手不足をさらに埋める宣伝するわけね!よし興味もった人はドンドンいってこい!
南海トラフ来ませんように
漁船漁業は獲れなかったら油代かかるだけで大変だもんなあ😰
しかし週休1日で23万は…キツい
これで給料めっちゃあがったって食品工場は凄いブラックやったんやろうなあ、都市部じゃ5LDKの新築なんてありえんだろうし
地方は土地や家も安いからいいね、数カ月出っぱなしになる遠洋漁業とかじゃないし、これはそこらの土方よりもいい仕事かも
工場なんて12時間労働、秒単位で仕事させられるからなあ、トイレにすらいけない
漁師のイメージは深夜~早朝に働いて、キツイけどいい生活してるイメージ。
実際の給与額を知るとそうでもないんやなって。
自分の船(会社)を持てば濡れ手に粟なんかな?
週休1日の仕事をホワイトみたいに語るな
前にいた大手グループの警備会社なんかより給料高い
素晴らしい取り組みである
一次産業をもっと盛り上げて行くことが
今後の日本の未来が見えてくると思います。
定置網と養殖は漁師じゃないよ! 漁師は頭使って、広い海から魚を捕ってくる人を漁師といいます。 これはただの、会社員ですね! 本物の漁師になりたきゃ、東北においで!
安定か夢かって感じw
11:28 亀発見ッ!
安定した給料を支払うには、会社が安定した売上を達成できないといけない。
それには、自然任せの略奪漁業ではいけない。
養殖漁業で肝になるが、室戸地域では養殖に適した入江が極めて少ない。
豊富な地下水を利用して、陸上養殖を志すべき。
うまく行けば独立も出来るだろうし…
いい取り組みで、チャレンジしてみたさはあるけど…絶対船酔い。。
人が流動的に動くのは良いことだよね