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プレバト俳句ふりかえり(02.16) お題 つまずく

by ANNAPOST



◆今回の俳句
原稿に「摘出手術」春の虹 久代萌美
つまずいて春を見つけた排水溝 勝村政信
鍵失せてファミレスにいる春の月 こがけん
あの崖の上がわらびの萌える野と 本上まなみ
春風のマーチ擦り傷にマキロン 森迫永依
覚えなき青痣きっと春のせい 森口瑤子
靴脱げたランナー春塵の入賞 横尾渉
赤チンの膝の記憶や養花天 梅沢富美男
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今回は画面にある俳句が詠まれた2023年2月16日放送のプレバトの振り返りをしていきたいと思います
お題「つまずく」で詠まれた今回の俳句。どんな俳句が詠まれたのでしょうか

原稿に 「摘出手術」 春の虹
季語は春の季語「春の虹」になります
久代萌美さんに詠まれたこの作品
意味はアナウンサーである自分が「摘出手術」と読めた喜びが春の虹のようだなということだそうです
でこの摘出手術を使うならということでこんなふうに添削されました
「摘出手術」 噛まずに言えた 春の虹
確かに添削前ですと何が「摘出手術」で言い表したいんだろうということがわかりにくい気がしますね
出演者の皆さんからもその点についてかなり指摘を受けていましたが
「噛まずに言えた」と説明することで一義的に伝わるようになったかと思います
ただ七七五なんで夏井先生は「摘出手術」にこだわらないならばと枕を置いた上でこんな風にも添削されていました
噛みそうな ニュース原稿 春の虹
こうすると五七五になって、噛みそうな様子というのも説明されていると思いますね
で私がここで夏井先生凄いなってやっぱり思ったのが
摘出手術って噛むんだよっていうことをずっと言ってる訳じゃないですか 現役アナウンサーの久代さんが
でも添削の際にですね何度か摘出手術って言わなきゃいけないシーンが夏井先生にもあったんですけど全部噛まずに難なく言ってましたね
あの私自身TAKE3ぐらいなんですよ
摘出手術で噛みまくったんですね
やっぱ夏井先生すごいな
あれTAKE1なのかなって思っちゃいましたね

続いて勝村誠信さんの俳句です
つまずいて 春を見つけた 排水溝
季語は春ですね
意味は道でつまずいたそのシーンから始まる訳です
そしてつまずいたところ排水溝の淵にぽっと芽が出ているっていうことに気づいたそうなんですね
あこんなところにも春があるのだなと思ったよという俳句です
夏井先生はこの季語「春」について説明していました
春という季語は広義ですよね
なので俳句の中で扱うことが特に難しいということを言っていました
ただ今回はですね「春」の季語が成功している例だということを付け足します
多義的に解釈できる俳句を作りたい時色々な春の奥行きを作りたい時は春という季語でもいいのかなと思いました
でそんな春の様子なんですけれども下五「排水溝」が成功しているっていう風に言うんですね
で夏井先生は例えばアスファルトだったらどうなるか考えてみようと話を進めます
アスファルトに下五をすると植物に限定される気がしますよね
アスファルトの隙間から生えている植物 ど根性大根とかそんな感じに解釈が狭まるといった効果があると思うんですけれども
排水溝とすると植物はもちろんですが土でしたり春の虫でしたりそういったものも想像されるように思います
また排水溝から匂い立ってくる臭いなんかもあわせて表現できていて
「春」という広義の季語と対応して排水溝というのはいい表現なんじゃないかと私も納得しました
勝村さんはこの俳句で特待生昇格ということになりました

続いてこがけんさんの作品です
鍵失せて ファミレスにいる 春の月
季語は春の季語「春の月」です
意味は深夜に帰ってきて鍵がないっていうシーンってあるよねって話し始める訳ですね
そしてどうしようもないのでファミレスに行くことがあるらしくてその照明が春の月のようだなあということですね
でこがけんさんの説明の中で照明と春の月の「朧」っていうのが似ているよっていう
「朧」という言葉が説明されるんですが夏井先生もこの「朧」という言葉を使うんですね
照明と春の月の対比もそうなんですが鍵失せてファミレスに行ってぼうっとしている様子とその春の月の朧感っていうのも言及できている感じがしますね
確かにという感じです
で時系列の記述について夏井先生は評価していました
鍵失せ「て」ファミレスにいる 鍵がなくなったからファミレスにいるんだよっていうことが説明できています
共演者の森迫さんが「ファミレス」だからいいってことをおっしゃるんですけれども
もしカフェでしたら深夜であることっていうのが説明できない感じがしますよね
24時間やってるファミリーレストランだからこそあ鍵がなくなって深夜に行ってるんだなそして月を見上げているんだなっていうことが説明できている気がします

続いて本上まなみさんの作品です
あの崖の 上がわらびの 萌える野と
季語は春の季語「わらび」になります
意味はあの崖の上にわらびがあるとお母様が教えてくれたそうなんですね
お題「つまずく」なんですけど躓きながら登ったよっていうことなんですが
夏井先生は最後の「と」を特に評価していました
「と」とすることで伝聞した様っていうのが表現できていますよね
わらびの萌える野「と」聞いて何かをしましたよっていうことを言い表せている気がします
そして崖という表記から躓きながら登ったのかなという推測もさせるこのつまずく前の記述というところが私も勉強させられたところです
そしてさらに夏井先生は季語が見えないということをおっしゃいました
確かにわらび、上がわらびの萌える野だよっていうことしか出てきてないのでまだ見えてないですよね
この見えない季語っていうのはすごい技術なんだよということを夏井先生がおっしゃってたんですが
昨日の動画で松尾芭蕉がですね
霧時雨 富士を見ぬ日ぞ 面白き
と濃霧で富士が見えない日、そんな日こそ面白いという俳句を詠んでるんですけれども
主役を隠す
今回は季語が見えないわけですけれどもそういった技術真似したいなと思いました

続きまして特待生に昇格した森迫さんの作品です
春風のマーチ 擦り傷にマキロン
季語は春の季語「春風」になります
意味は春風の中で吹奏楽の練習をしていて転んでしまったという実体験があったそうです
その時に顧問の先生がマキロンしてくれたよっていうことを詠んだそうなんですが
この春風とマーチとマキロンの取り合わせがとてもいいということを夏井先生はおっしゃっていました
名人を目指すならということで添削するんですけれども
梅沢富美男さんも指摘していたんですが語順が違うと
擦り傷にマキロン春風のマーチ
とすると季語が立つようになるという風におっしゃるんですね
この永世名人と夏井先生の意見が完全に一致するっていうところが「おー!」というところだったんですけれども
確かに添削前の俳句ですとマキロンに最後カメラが寄るような感じがするんですけれども
擦り傷にマキロン春風のマーチとすることで
春の様子だよっていうことが最後に何かマーチの音と一緒に響き渡るっていう風景に変わる気がしましたね
「春風のマーチ」いいですよね
こんな表現ができたら特待生に一気になれるんだなあと思わされた俳句でした

続いては森口瑤子さんの作品です
覚えなき 青痣きっと 春のせい
季語は「春」です
意味は見覚えのない青あざがあってそれを見てきっと春のせいなのだなと思ったよっていうことですね
で夏井先生はですねこの「春」という季語に全て押し付けるという型の俳句だよということで紹介します
覚えなき青あざは全部春のせいなんだと
「春」というのは先ほども広義な季語で難しいということを扱いましたが
春の愁い春愁ということだったり春でうきうきして浮かれていてちょっと転んでしまった、つまずいてしまったみたいな場面も想像できますよね
そんな風に青あざの原因とその背景にあった心情っていうのを広く見せながら全部春のせいなんだっていうふうに言うっていう型の俳句だということを紹介します
また俳句の中に青と春という字が書かれるとやっぱり青春ということをインスパイアされるとした上でこの青あざっていうのは何か青春の失敗のことなのか、心の傷なのかなんていう読みもこちらにさせてきますよね
そういったことをきっと狙ってやってるんだろうっていうことで見事昇格になるわけなんですけれども
「全部夏のせい」とか結構言いますよね
ポップスの歌詞の中なんかにも「全部夏のせい」なんて出てきますがそれを俳句に入れる感性というのがすごいなと思いました

続きまして十段横尾渉さんの作品です
靴脱げたランナー 春塵の入賞
季語は春の季語「春塵」です
意味は春風が吹き砂埃が舞うなか これ春塵のことですね
靴脱げたランナーが入賞したというマラソンの大会で実際にあった話を詠んだ俳句だそうです
で春塵というのはですね 春風が強く吹いているんですが特に春先の乾燥した気候の中で砂埃が舞うといった天候を表す季語だそうです
夏井先生はこの俳句の解説で靴脱げたランナーとするとその先を書きたくなるのが俳句を詠む人の心情だということを言ってました
説明したくなってしまうらしいですね
靴脱げたランナーがどうなったかっていうことを書きたくなってしまうところなんだけれども
季語と「入賞」この一言だけで終わらせているのが説明しないという俳句の技だということで評価していましたね
確かに読み手からしても靴脱げたランナー
靴履くのかなとか、どうなっちゃうのとかそういった読み取り方をする人が多いと思いますが
春塵の入賞 入賞してしたんだということがまず伝わって、入賞したのだから四苦八苦したシーンも当然あったのだろうなという読みさえ読み手にさせますね
それが小春日和ではなくて春塵の吹き荒れるそんな波乱万丈さみたいなものも(描写と季語とが)マッチしているかと思います

最後梅沢富美男さん
自身の句集完成まであと一句のところで足踏みしている梅沢さんですが今回も見事な俳句を詠んでいました
赤チンの 膝の記憶や 養花天
季語は晩春の季語「養花天」になります
養花天というのは桜が咲く頃に曇った日のこと、曇り空の日のことを養花天というらしくて花を養うそんな天気という意味で養花天というらしいですね
この俳句の意味はそんな曇り空の日に膝に赤チンを塗ったものだなという記憶を詠んだよということです
その俳句の説明をする中でですね赤チンの記憶と昔いじめられてた記憶というのを梅沢さんはおっしゃっていました
旅役者の息子だからといって友達とうまく人間関係を築けなかったっていう幼少期をおもちのようで
それを聞いた夏井先生はまだ句集完成じゃ駄目だということでこんなふうに添削します
赤チンと イジメの記憶 養花天
確かにそのいじめのエピソードを聞いたらこちらの方がふさわしいかなと思う添削でしたね
膝という言葉を削った訳ですけれども赤チンを塗る場所は膝小僧っていうのがテンプレートだみたいなことを夏井先生はおっしゃってたんですが
例えば「すりむく」という言葉があった時に膝という言葉が削れるなとかそういった言語感覚っていうのが俳句の世界では大切なのかなと勉強になりました

ということで今回は2023年2月16日放送のプレバトお題「つまずく」の俳句を振り返ってきました
また次回は「富士山」の俳句らしくて図らずも昨日ですね富士山の俳句上げたんですね
全く知らなかったんですけれどもやっぱり放送日が2月23日富士山(223)の日ということでそうなったのかと思います
ぜひ次回のプレバトの予習も昨日の動画を見てしてみてください

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2 comments

紅白 February 18, 2023 - 11:32 am

大変、勉強になりました。ありがとうございました。

馬庭あつ子 February 19, 2023 - 2:39 am

つくづく、俳句は深い文芸だと思いました。わかりやすい解説の中に、御自身の感じ方も伝えて頂けて、感動しています。ありがとうございました✴
私も、季語を見せない俳句作りたいなぁと、わくわくしてきました…✨

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