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【人情朗読 山本周五郎】槍術編 詰め合わせ『足軽槍一筋/槍術年代記/足軽奉公/おまけ 青ベかをかう』 ナレーター七味春五郎 発行元丸竹書房

by ANNAPOST



山本周五郎の詰め合わせ、習作編!
 山本周五郎の膨大な著作。いまだ未発掘の作品があるのでは?といわれている同先生ですが、
 同じストーリーの作品をさらに、昇華させて書き改める、という試みをけっこうやっておられます。
 今回は、昭和11年の足軽槍一筋、昭和12年の槍術年代記、昭和20年の足軽奉公をお届けいたします。いずれも、馬込文士時代の作品。

一、足軽槍一筋(生きている源八収録)
1937年(昭和12年)7月 『譚海』掲載作品。
「これからは大衆小説だけを書く」「講談雑誌へ出しても、中央公論にだしても、少しもおかしくないものを仕上げる」
 こんなふうに宣言した周五郎先生。この年、三十遍をこす作品を発表しております。時代小説のみならず、怪奇小説、推理小説、現代小説と、ジャンルも多岐にわたります。「すぐれた武術はなく、すぐれた武人がいるだけである」という言葉もありますが、周五郎先生、文壇でこれを体現しようとしていたのかも、しれません。

※この動画のAudioBookはすべて新たに撮り下ろしたもので、再利用コンテンツではございません。

■登場人物の紹介
成田兵馬……足軽。槍術にすぐれた技量を持つ。
金井孫次郎……兵馬の親友。
金井孫兵衛……藩の槍術指南番。孫次郎の父。
近子……兵馬の妹。孫次郎の許婚者。兵馬と諸国を巡る。
相良藤右衛門……物頭役。
武林源兵衛……松代藩の御側役。
武林源之丞……源兵衛の子。傍若無人の乱暴者。
鈴木甚七……老足軽。

■用語集
罵詈……バリ・ののしること
険阻……地勢のけわしいさま。険峻

■「一、足軽槍一筋」目次
0:00 「足軽槍一筋」一
5:40 「足軽槍一筋」二
12:20 「足軽槍一筋」三
18:15 「足軽槍一筋」四
25:28 「足軽槍一筋」五

二、槍術年代記 (艶書収録)
1938年(昭和13年)2月 『冨士』 掲載作品
大筋は、「足軽槍一筋」と変わりませんが、大幅に肉付けを行い、物語と人物に厚みをもたそうとしております。

昭和12年というと、前年の日中戦争に続いて国家総動員法が成立した年。馬込仲間の尾崎士郎が従軍するなど(吉川英治も出征している)、時代背景も相まって、前作に続いて、友情そして血なまぐさい槍戟の作品に仕上げている。毎月二三遍の短編を発表している。【面白く書かなくてはいない。そして、真実でなくてはいけない】娯楽小説の中にも人間の真実の姿を描こうと、山本周五郎の習作とその苦闘はつづいていく。

 槍術に抜群の才をしめすものの、足軽の身分の低さに甘んじる友右衛門が、親友との決闘を機に諸国を遍歴する。妹をつれて仕官の道をさぐるが、うまくいかない。高島で、再び足軽となるが、そこでまっていたのも屈辱の日々であった……

■登場人物
兵堂友右衛門……出羽国松山藩の足軽。士分と足軽の対立から親友を傷つける。
小夜……友右衛門の妹。孫次郎を密かに想っている。
寺沢孫兵衛……藩の槍術指南役。
寺沢孫次郎……孫兵衛の子。友右衛門の親友。
菊田勘太夫……御先手番頭。
島田伝十郎……高島藩横目役の倅。父親の権威をかさに無法を重ねる。
石川幹三郎……若侍。伝十郎の仲間。
女……宿「小むら屋」の女。友右衛門を何かと助ける。
岡村武兵衛……友右衛門の隣家の老足軽。

■用語集
才幹……サイカン・物事を成し遂げる知恵や能力
微醺……ビクン・ほろよい
儼乎……ゲンコ・おごそか、いかめしいさま
嬌声……キョウセイ・こびを含んだなまめかしい声
門付け……人家の門前に立って音曲を奏するなどの芸をし、金を受けること
琴歌……琴を伴奏にした歌謡
盃洗……ハイセン・酒席で、やりとりする杯を洗いすすぐための器
行雲流水……コウウンリュウスイ・物事に執着せず、淡々として自然の成り行きに任せること
逮夜……タイヤ・葬儀の前夜
李太白……飲み助の綽名
極月……十二月
身上……シンショウ・身の上
満願……マンガン・願望が満たされること
愛槍……アイソウ
窮鼠……キュウソ
惰心……ダシン・なまけごころ
霏々……ヒヒ・雨や雪が絶え間なく降る様

■この動画の目次
32:41 槍術年代記 一の一
41:24 槍術年代記 一の二
45:46 槍術年代記 一の三
53:32 槍術年代記 二の一
1:00:28 槍術年代記 二の二
1:07:38 槍術年代記 二の三
1:14:29 槍術年代記 三の一
1:20:59 槍術年代記 三の二
1:27:34 槍術年代記 三の三

三、足軽奉公 (朝顔草紙収録)
1945年(昭和20年)1月 『講談雑誌』掲載作品。
昭和20年に一月に発表された作品。四十数年間に及ぶ作家生活を、戦前戦後でくわけすることができるが、前期二十年間、日本婦道記とともに書かれた短編作品一つ。

槍術年代記から八年がたった足軽奉公は、大筋こそ同じながら、
作家としの熟達をみせています。
人物の作品の奥深さは、たんなる肉付けに留まりません。

単なる友情物語に終わらない、忠義、人間の惻隠の情を細やかに描くものへと昇華しております、
昭和20年一月、空襲もただ中、原稿も不足する中で、少しでもよいものをと上達の道を歩みつづけた山本周五郎。頭が下がります。

このあと周五郎には、夫人の死、長男の不明と次々不幸が積み重なるのですが……
それはまた別のお話

山本周五郎にとって、その人生はすべて習作時代だったのかもしれません。
きよえ夫人は二月頃に発病、病の床につき、わずか二ヶ月あまりの闘病でなくなっております。前兆は胃痛のみ、膵臓ガンでありました。

三月の東京大空襲で、長男は行方不明。長女次女は疎開しております。自分が死ぬよりも痛烈な絶望、三才の幼子がいなければ、一緒に死んでいた、という悲しみ。
山本周五郎の「愛妻日記」の帯に、こんな文章が抜粋されております。
「妻よ、乞う、今しばし貧を許せ。必ず必ず余は成し遂げるであろうから」
「余の机の側で妻が午睡をした。眠っている妻の、あまりにやつれている有様をみて、涙を覚えた。余が今生き、書き、大きな何事かを為そうと企てているのは、唯我妻あるが故である。貧から、無気力から、失意から、いつも余を起き立たせるのは妻である。」

山本周五郎はこのとき、夫であり父であり、班長であり、そして作家であり続けた。玄関先で鉄兜をかぶって、配給減った原稿に筆を走らせる(減ったのは原稿だけでなく、雑誌も統廃合され、周五郎活躍の場は失われていった)。
 妻子の為に生き残りたいと思い、その独善を嘆き、一枚でも多くよい作品を残そうと決意する。

◆登場人物紹介
右田藤六……三春藩足軽。親友の鉄之助を傷つけ退身する。
汀……藤六の妹。鉄之助を慕う。退身した兄と諸国を廻る。
横井大学……槍術の師範。
横井鉄之助……大学の子。藤六とやむを得ず試合し傷つく。
秋田信濃守頼季……三春藩主。
槇山正左衛門……番頭役。
笹沼市蔵……足軽組頭。
飴屋の爺さん……藤六と木賃宿で同宿する。
庄さく……古蚊帳買い。
長尾甚之允……高島藩の足軽組頭。
忠秋……藩主の弟。お浜館主。藤六に関心を持つ。
足軽の老人……藤六の同輩。

◆用語集
餌差……エサシ・鷹の生き餌の小鳥を捕らえること
適評……適切な批評
攪乱……カクラン・混乱が起きるようにすること。かき乱すこと
弛廃……シハイ・ゆるみすたれること。行われなくなること
衆望……大勢の人たちから寄せられる期待・信頼
尚武……ショウブ・武道・武勇を重んじること
偸安……トウアン・目先の安楽を求めること。一時しのぎ
矢来……ヤライ・竹や丸太を縦横に粗く組んでつくった仮の囲い
僭上……センジョウ・身分をこえておごること
過言……カゲン・カゴン・言い過ぎ
酒興……酒に酔い興に乗ること。酒宴の座興
誹謗……ヒボウ・他人を悪く言うこと
忿懣……フンマン・腹が立って、どうにも我慢ができない気持ち
たんぽ……綿などを丸めて、革や布で包んだもの。稽古の槍につけたりする
谷峡……タニカイ
あたら……惜しくも。残念なこと
落魄……ラクハク・落ぶれること
景物……ケイブツ・その場に興を添えるもの
蝉脱……センダツ・古い因習や束縛から抜け出すこと
恪勤……カツキン・カツゴ・雑役に従事した武士
不羈……フキ・物事に束縛されないで行動が自由気ままであること
極月……十二月の異称
霏々……ヒヒ・雪や雨が絶え間なく降ること
雪泥……セツデイ・雪解けのぬかるみ
寛仁……心が広く、情け深いこと
苦衷……クチュウ・苦しい心の内

■この動画の目次
1:36:04 足軽奉公 一
1:43:15 足軽奉公 二
1:49:11 足軽奉公 三
1:56:22 足軽奉公 四
2:03:38 足軽奉公 五
2:10:52 足軽奉公 六
2:18:15 足軽奉公 七

おまけ 青ベかをかう
若き山本周五郎の、浦安時代のお話。

2:30:26 青ベかをかう

#山本周五郎 #朗読 #時代小説 #七味春五郎
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山本周五郎の長編はこちらです
■https://www.youtube.com/watch?v=HGjbhb2x0Tw&list=PLbLffmEwTDppcuNWBi9S2xE09KMYIqMhE

半七捕物帳はこちらです
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■青空文庫、山本周五郎作品他、著作権きれた文芸多数
https://www.aozora.gr.jp/

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3 comments

正治 澤井 April 5, 2023 - 1:19 am

現代に薄れていると思われる、相手を思い遣る、相身互い精神が素晴らしく描かれており、感服致しました。

jessamineエリン April 7, 2023 - 11:54 am

💓七味春太郎さま
「足軽」が随分続きましたね 笑
何時もながらの爽快な朗読、お疲れ様でございます~💓7👄📗🙏

「足軽」は武士制度の中で、インドのカーストの様なものですか~⁉️
使用人の娘と婚姻関係、侍の権利をお金で買うetc.…矢張りカースト
とは全く異なりますね。かなりの忍耐力のいる、足軽ですね。

「青ベカ」ボヴァリー婦人と名付けたのは、全く忘れてました~(笑)
流石、山本周五郎先生、舟を女性に例えるとは、同じ女性でも
真逆オフィーリアは無いですね、舟が沈んじゃいますものね~🚤⤵
此の場合は婦人と言うところがミソですね~(笑)
洋書も愛して居られたのですね、その様な作品有りましたら、朗読
宜しくお願い申し上げます、有難うございました~💓7📗👄🙏

Chie Nakamura April 8, 2023 - 5:45 am

周五郎さんの真骨頂‼️ こう、ずらりと兄弟作を並べるのも、ご酔狂❣️ 大満足です❣️ 年を重ねて『語り尽くした』のではなく、再挑戦‼️ なんと潔い‼️ いゃ〜、堪能、堪能❣️🤓

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