ローカルビジネスサテライト名古屋限定版です。
今、女性を中心に人気が高まっているという「酵素浴」。その酵素浴を楽しめる温浴施設を岐阜県の木材会社が作りました。そこにはある狙いがあるようです。
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▼内容
岐阜県中津川市は名古屋から電車で約1時間半、総面積の8割を森林が占める自然豊かな土地です。
市の名産は、「東濃桧(とうのうひのき)」
全国屈指のヒノキの産地として知られ、伊勢神宮の社殿を建て替える神事「式年遷宮」でも、中津川のヒノキが使われました。
その中津川市に2023年1月、オープンしたのが温浴施設「ミートトゥリースパ」。施設で楽しむことができるお風呂には、最高級のヒノキが使われています。サウナ室にもふんだんにヒノキが使用されています。
ヒノキの精油を使用したアロマロウリュも楽しむこともできます。
さらに、“ヒノキのおが粉”を使った酵素浴もあります。
酵素浴とは、おが粉や米ぬかなどの有機物を微生物によって発酵させ、発酵によって生みだされる熱で温浴すること。体が芯から温まり、健康にも良いといわれています。
おが粉の中の温度を測ってみると、約60度。体感温度は約40度になるといいます。
こちらの施設では酵素浴の利用は、女性に限られていますが、今回、特別に男性記者が体験させてもらいました。
記者「少しずつ体がポカポカしてきて、徐々に汗が出てくる感じです。おが粉がフカフカで肌触りも良いですし、ヒノキの香りでリラックスできます。」
「弊社の母体が元々木材会社で、ヒノキやスギを加工する際に出る“おが粉”をどうにかして使えないかということで、ヒノキのおが粉を使った酵素浴を作りました。」 (ミートトゥリー広報部 矢野愛子さん)
実はミートトゥリーは、木材会社「丸山木材ホールディングス」のグループ企業。
グループ内の工場では、主に住宅の柱や土台となる建築資材を作っています。そこで建築資材の加工過程で出る”おが粉”にビジネスチャンスを見出したのです。
そもそも木は、無駄なく利用できると言います。建築資材の加工過程を見てみると、まずヒノキの丸太は加工機に入れられ、樹皮が剥されます。剥がされた皮は捨てられることなく、建築資材を乾燥させる為の燃料として使われるのです。
樹皮を剥いだ丸太は形を整えるため、ノコギリで背板と呼ばれる部分が切り落とされます。切り落とされた背板は機械でチップ状にされ、トイレットペーパーなど製紙の原料として利用されます。最後に四角く整えられ、柱や土台などの建築資材になるのです。
樹皮は燃料、背板は製紙の原料、残りは建築資材に使われますが、加工過程で出るおが粉だけは、商品価値がほとんどなかったと言います。
「おが粉はこれまであまり付加価値がなく、家畜の下に敷くクッションのようなものとして使っていました。より価値の高いものとして提供するという手段が今までなかったので、その一つの解決策が我々は“酵素浴”だと考えています。」 (ミートトゥリー広報部 矢野愛子さん)
これまで商品価値が低かった”おが粉”を、”金のなる木”に変えようという取り組みです。
この取り組みを日本経済新聞社岐阜市局 西堀卓司支局長は、
「自社工場の製造過程で出る端材や廃材を商品化していくアイディアは、その企業に新たな収益をもたらすだけではなく、サスティナブルな取り組みとして、社会に評価されていくのではないでしょうか。通常の温浴施設は電気やガスを大量に使いますが、今回の酵素浴は自然由来の成分で、発酵・発熱していますので、環境にも優しいと思います。」
ミートトゥリーの今後の展望は。
「今は地元、岐阜県中津川市でやっていますが、今後はもっと都会の地域など、受け入れられる場所があると思うので、“フランチャイズ化”も進めていきたいと考えている。」 (ミートトゥリー広報部 矢野愛子さん)